ラスサビの
振りを覚えじ
冬の夜
あへなくながむ
かなしけれども

(たっつん)


訳: すさんだ僕の心は、(公演の近い)冬の夜でもラスサビの振りを覚えられない。もの悲しいが、(周りが踊っている姿を)どうしようもなく眺めているだけであるよ。

解説: 「ラスサビの」は「振り」を導く枕詞で、「荒び(すさび)」との掛詞でもある。筆者の振りを覚えられない悲しみが、寂しい冬の季節になぞらえて詠まれた令和初期の名歌。